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遺言書を残すメリット・デメリット

遺言書は、遺言者が自分の財産を、誰に、どのように渡すのかを決める書類です。
財産の相続に関する事項のほか、身分に関する事項(認知、後見人の指定等)についても定めることができます。
高齢化が進む現代では、遺産を巡るトラブルが増えており、遺言書の重要性が見直されています。
今回は、遺言書を作成することによって得られるメリットと注意点を確認します。

遺言書を残すメリット

遺言書を残すことには、さまざまなメリットがあります。

  • 相続トラブルを避けやすくなる
  • 自分の意思を確実に伝えられる
  • 遺留分への配慮もできる
  • 未成年の子どもの後見人を指定できる

それぞれ確認していきましょう。

相続トラブルを避けやすくなる

財産の分け方が明記されていると、遺族の間で争いが起きにくくなります。
遺産分割協議を行わずに済むケースもあり、相続手続きがスムーズになります。

自分の意思を確実に伝えられる

法定相続人以外の人に財産を渡したい場合や、特定の財産を特定の人に渡したい場合には、遺言書が必要です。
たとえば、内縁の配偶者や介護を担ってくれた子どもに感謝の気持ちを示したいときなどに役立ちます。

遺留分への配慮もできる

法定相続人には、最低限保証された取り分(遺留分)があります。
具体的には、兄弟姉妹を除く法定相続人(配偶者、子、直系尊属)に、遺留分として最低限保証された取り分があります。
遺留分の割合は、直系尊属のみが相続人の場合は遺産の3分の1、その他の場合は遺産の2分の1です(民法1042条、1043条)。
遺言書を作成すれば、遺留分に配慮しながら、自分の意思を尊重した分け方ができます。

未成年の子どもの後見人を指定できる

遺言書では、未成年の子どもがいる場合に後見人を指定できます。
親が亡くなった後、子どもの生活を守るための大切なポイントになります。

遺言書の注意点

遺言書にはメリットがある一方で、注意しておきたい点もいくつかあります。

  • 遺言書の形式を誤ると無効になる可能性がある
  • 内容が不明確だと争いの原因になる
  • 遺留分侵害による争いのリスクがある
  • 定期的な見直しが必要

それぞれ見ていきましょう。

遺言書の形式を誤ると無効になる可能性がある

自筆証書遺言は、基本的に全文を手書きしなければならないなどの厳格なルールがあります。
遺言者は、遺言書の全文、日付および氏名を自書し、押印する必要があります(民法968条)。そのため、形式に不備があると遺言書として認められないこともあります。
なお、財産目録については、法改正により、パソコン作成や通帳のコピー添付も可能となりました。

内容が不明確だと争いの原因になる

「○○に多めに渡す」など曖昧な表現を使うと、解釈を巡って相続人同士で対立が生じるおそれがあります。
「長男に家を、次男に預金を相続させる」、「遺産の60%を長男に相続させる」のように具体的に記載することが重要です。
専門家に内容を確認してもらうと安心です。
複雑な家族関係や多額の財産がある場合、また遺留分侵害のリスクがある場合には、弁護士等の専門家に相談することをおすすめします。

遺留分侵害による争いのリスクがある

たとえば、ある相続人に全財産を相続させると記載した場合、他の法定相続人から「遺留分侵害だ」として争われることがあります。
法的に許される範囲を理解するのが重要です。

定期的な見直しが必要

遺言書を一度作成しても、家族構成や財産の状況が変わることがあります。
そのまま放置していると、遺言書の内容が実際の状況と合わなくなり、特定の相続人が不利になるなど意図しない結果を招くかもしれません。

遺言書作成時のチェックポイント

遺言書を作成する際は、以下の点を確認しましょう。

– 法的要件(自書、押印等)を満たしているか
– 財産の記載に漏れや曖昧な表現はないか
– 遺留分への配慮は十分か
– 相続人や受遺者の特定は明確か
– 定期的な見直し予定は立てているか

これらの点を事前に確認することで、より確実で実効性のある遺言書の作成が可能になります。

まとめ

遺言書があれば、自分の意思に沿った財産の分け方ができ、相続トラブルを避けやすくなります。
一方で、作成方法に誤りがあったり内容が不明確だったりすると、かえって揉めごとの原因になる可能性もあります。
弁護士などの専門家に相談しながら、自分の意思を明確に伝えられる遺言書を準備しましょう。

手を組んでいるビジネスマン
著者について
弁護士 川村 勝之
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