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【弁護士が解説】遺言書を残すメリットと注意点
遺言書は、自分の財産を死後、誰にどのように渡すのかを決める書類です。
高齢化が進む現代では、遺産を巡るトラブルが増えており、遺言書の重要性が見直されています。
『自分が亡くなった後、家族が揉めないようにしたい』
『特定の人に財産を残したい』
—そんな思いを形にできるのが遺言書です。遺言書は、あなたの意思を確実に伝え、大切な人を守るための重要な法的文書です。
今回は、遺言書を作成することによって得られるメリットと注意点を確認します。
遺言書を残すメリット
遺言書を残すことには、さまざまな利点があります。
- 相続トラブルを避けやすくなる
- 自分の意思を相続人や受遺者に確実に伝えられる
- 遺留分への配慮もできる
- 未成年の子どもの後見人を指定できる
それぞれ確認していきましょう。
相続トラブルを避けやすくなる
遺言書に財産の分け方が明記されていると、遺族の間で争いが起きにくくなります。
遺産分割協議を行わずに済むケースもあり、相続手続きがスムーズになります。
自分の意思を相続人や受遺者に確実に伝えられる
法定相続人以外の人に財産を渡したい場合や、特定の財産を特定の人に渡したい場合には、遺言書が必要です。
たとえば、内縁の配偶者や介護を担ってくれた子どもに感謝の気持ちを示したいときなどに役立ちます。
遺留分への配慮もできる
法定相続人である配偶者、子、直系尊属(父母など)には、遺言によっても奪うことのできない最低限の取り分(遺留分)が法律で保障されています(民法1042条)。ただし、兄弟姉妹には、遺留分はありません。
遺言書を作成すれば、遺留分に配慮しながら、自分の意思を尊重した分け方ができます。
未成年の子どもの後見人を指定できる
遺言書では、単独で親権を行っている親(ひとり親など)が亡くなった後に備えて、未成年の子どもの後見人を指定できます(民法839条1項)。
親が亡くなった後、子どもの生活を守る上で大切なポイントになります。
遺言書の注意点
遺言書にはメリットがある一方で、注意しておきたい点もいくつかあります。
- 遺言書の形式を誤ると無効になる可能性がある
- 内容が不明確だと争いの原因になる
- 遺留分侵害による争いのリスクがある
- 定期的な見直しが必要
それぞれ見ていきましょう。
遺言書の形式を誤ると無効になる可能性がある
自筆証書遺言は、基本的にその内容を手書きしなければならない(2026年1月時点)などの厳格なルールがあります。
2019年の法改正により、財産目録については、パソコンで作成したり、不動産の登記事項証明書や預貯金通帳のコピーを添付することも認められるようになりました(民法968条2項)。ただし、財産目録の各ページには署名押印が必要です。
そのため、作成時点のルールに従い、形式に不備があると遺言書として認められないこともあります。
なお、自筆証書遺言書補完制度を利用する場合は、制度を利用するための別途様式等が定められているので、注意が必要です。
内容が不明確だと争いの原因になる
「預金をAに多めに渡す」など曖昧な表現を使うと、解釈を巡って相続人同士で対立が生じるおそれがあるため、遺言の解釈ができるよう内容を明確にしておくのが望ましいです。
また、自分ではきちんと作成できたとしても、考慮不足があったり、実際には自分の意図が十分に反映されておらず、かえってトラブルになるケースもあります。
そのため、専門家に作成を依頼したり、内容を確認してもらうと安心です。
遺留分侵害による争いのリスクがある
たとえば、ある相続人に全財産を相続させると記載した場合、他の法定相続人から「遺留分侵害だ」として遺留分侵害額請求(民法1046条)をされる可能性があります。この請求がなされると、侵害額に相当する金銭を支払わなければならなくなります。
そのため、遺言書の作成の際には、遺留分も考慮して作成を理解するのが重要です。
定期的な見直しが必要
遺言書を一度作成しても、家族構成や財産の状況が変わることがあります。
そのまま放置していると、遺言書の内容が実際の状況と合わなくなり、特定の相続人が不利になるなど意図しない結果を招くかもしれません。
そのため、定期的な見直しをして、必要があれば新たな遺言書を作るということが重要になります。
まとめ
遺言書があれば、自分の意思に沿った財産の分け方ができ、自分の死後、相続人間での相続トラブルを避けやすくなります。
一方で、作成方法に誤りがあったり内容が不明確だったりすると、かえってトラブルの原因になる可能性もあります。
弁護士などの専門家に相談しながら、自分の意思を明確に伝えられる遺言書を準備しましょう。
リフト法律事務所では、遺言書の作成から相続対策まで、お客様ひとりひとりの状況に寄り添った丁寧なサポートを行っています。
「自分の場合はどうすればいいの?」「遺言書を作りたいけど何から始めればいいの?」といったお悩みも、まずはお気軽にご相談ください。

著者について
弁護士 川村 勝之